

碩学の旅 Ⅸ
薔薇色のユートピアを求めて
イタリアの光と闇 Ⅱ
マリオ・プラーツ (著)
金山弘昌 新保淳乃 (訳/共同編集)
【企画構成】石井 朗
A5判 並製 344ページ
定価 本体 3,600 円+税(総額 3,960 円)
《ISBN 978-4-7566-2698-1》
【 7月10日 発売 / 予約受付中】
永遠の都ローマを知り尽くした碩学が、イタリアを北から南へ美しく輝く景に映る闇の中の光を愛で、何気ない街や人や事象に秘められた、時空を超えた深い歴史的意味と栄枯盛衰への哀悼と芸術的精華を語る、
珠玉のエッセイ集!
内容紹介
永遠の都ローマを知り尽くした碩学がイタリアを北から南へ美しく輝く景に映る闇の中の光を愛で、
芸術的歴史と精華を語る!
南北に長いイタリアは多様性に富むことで知られ、古今の旅人を惹きつけてきた。海峡を越え大陸を横断し、やっとの思いでアルプスを越えた北の人びとにとって、霧に包まれる湖水地方に降りていくのか、あるいは陽光がきらめくアドリア海沿岸に向かうのかによって、「イタリア」という語の響きかたはずいぶん違うものになったにちがいない。長靴にたとえられるこの地理的広がりのうちには、輝かしきコムーネの血脈がいまなお通う中世都市、皇帝の封土を起源とする華麗な公国の気配が残る地方、ヨーロッパの強国がぶつかりあう戦場の過去をもつ土地が、豊かな平原や石灰岩質の過酷な台地とともに在り、それぞれの歴史が自然と手を携えて独自の相貌と文化的風土を形づくってきた。地中海に突きでる半島と大小の島からなるこの地が、旅の目的地になったのは古代ローマ以来であろうか、巡礼者が聖都を目指した中世であろうか、あるいは、複数の「古代」が再発見されていく初期近代であろうか。
プラーツの言葉によって編まれたイタリア巡りの道程は、北方の精神と響きあう高山と深い渓谷の織りなす絶景から始まる。丘陵の連なる美しい風景を整然とした輪郭で切りとる白い立方体と、ゴシック式聖堂の裏で裸足の子供が駆けまわり石工が黙々と作業する埃っぽい空き地。ヘルクラネウムの踊り子やケンタウロスの洗練された造形と、溶岩が冷えてできた輪郭の曖昧な異形の塊。近代の幕があがろうとしていた時代にイタリアの北から南へ旅した人びとが心を震わせたのは、秩序立った表面と猥雑な裏面との、再解釈された古代と現代によみがえった古代とのコントラストであったのかもしれない。こうした光と闇に目を凝らし、倦むことなく書き続けたプラーツとともに、われわれもまたイタリアへと旅立とうではないか。言葉のエリュシオンのなかに咲く薔薇色のユートピアを求めて。
目次
【欧文】
I viaggi dell’erudito IX,
LUX ET TENEBRAE IN ITALIA II: Affectare Utopiam Roseam
プロローグ 憧憬のイタリア (新保淳乃)
ヴィッラ・ジェルネット
カナレット
パッラーディオと新古典主義
カフェ・ペッドロッキ
新古典主義とロマン主義のヴェネツィア
ヴィンケルマン
フィレンツェの復興
ヴィッラという文化
シエナの二色紋
静寂の都市ウルビーノ
ヘルクラネウムの古代美術
ヴィッラ・パラゴニア
エピローグ イタリアの光と闇 (新保淳乃)
人名/索引名 索引
著者
マリオ・プラーツ
(1896─1982)
イタリアを代表する文学/美術の研究者
訳者
金山弘昌(慶應義塾大学文学部教授/イタリア美術史)
新保淳乃(立教大学文学部講師/イタリア美術史)
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【共同編集】金山弘昌 新保淳乃
【企画構成】石井 朗(表象芸術論)
【装 幀】中本 光(デザイン論・形象学)